東北の環境パートナーシップを応援します。

活動のご報告

活動のご報告

<EPO東北>再生可能エネルギー交流会「第1回みちのく薪びと祭りin山形さんぜ~地域をあげて薪に取り組む三瀬~」/2014.10.25-26

2015.01.14 15:05

 EPO東北では、平成23年度より再生可能エネルギーを主題とする交流会を3回に渡り開催し、東日本大震災時に再生可能エネルギーが果たした役割等の情報共有や今後の可能性に関して、再生可能エネルギーに携わる東北各地の方々と議論を重ねてきました。平成25年度には、交流会にご参加いただいた方々から分野別の交流会開催や継続を希望する声が多く見られたことを受けて、BDFと薪をテーマとした分科会を開催しております。
 今年度は、さらに25年度の参加メンバーの意見を反映し、薪だけでなく森林エネルギーへテーマの幅を広げ、活動現場を見ることに焦点を当て、山形県鶴岡市で1泊2日の交流会を実施しました。
 
日時:2014年10月25日(土)13:00~26日(日)13:00
   ※受付前の任意プログラムとして10:30~薪アートのワークショップを実施
場所:三瀬コミュニティセンター(山形県鶴岡市三瀬地区)
参加者:薪をキーワードに活動を行うまたは薪に関心のある個人、NPO、企業、行政など
主催:みちのく薪びと祭り山形実行委員会(委員長:加藤勝(三瀬地区自治会会長)、主管:東北環境パートナーシップオフィス(EPO東北))
実行委員会メンバー:鶴岡市三瀬地区自治会、三瀬の薪研究会、やまがた自然エネルギーネットワーク、東北環境パートナーシップオフィス(EPO東北)、鶴岡市、山形県庄内総合支庁、やまがた自然エネルギー株式会社
協力:エネシフ薪びと倶楽部、庄内木質エネルギー利活用協議会、株式会社めぐるん、薪ストーブ愛好会くべる部、もりおか薪割りクラブ、いちのせき薪の会、NPO法人遠野エコネット、NPO法人川崎町の資源をいかす会、薪の駅やくらい、NPO法人しんりん、二ツ井宝の森林(やま)プロジェクト、ふくしま薪ネット、出羽庄内森林組合、温海町森林組合
 
内容:
■1日目:10月25日(土)
(1)受付前任意プログラム/薪アート
   講師:深澤光氏(岩手県花巻市在住、薪割りスト)
(2)開会式(開会挨拶)
   みちのく薪びと祭り山形実行委員会 実行委員長 加藤勝
   鶴岡市長 榎本政規様
(3)第1部:シンポジウム
  <三瀬の取組報告>
   三瀬地区の方/石塚慶氏(三瀬地区自治会)、加藤周一氏(林業家、農家)
   三浦秀一氏(東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 教授、薪ストーブユーザー)
  <話題提供>
   新妻弘明氏(東北大学 名誉教授、ノコギリスト)
   深澤光氏(岩手県花巻市在住、薪割りスト)
(4)第2部:分散会/東北の活動団体発表
  【青森県】薪ストーブ愛好会くべる部、NPO法人青森バイオマスエネルギー推進協議会
  【岩手県】いちのせき薪の会、NPO法人遠野エコネット
  【秋田県】二ツ井宝の森林(やま)プロジェクト
  【宮城県】NPO法人しんりん、NPO法人川崎町の資源をいかす会
  【福島県】ふくしま薪ネット
  【山形県】三瀬の薪研究会
(5)情報交換・交流タイム
 
■2日目:10月26日(日)
(6)第3部:フィールドワーク
  ①グループA「薪作り体験」/②グループB「トレッキング」
(7)閉会式(閉会挨拶)
 
 1日目は、受付前に任意プログラムとして、薪アートのワークショップを行いました。薪アートとは、目で見て楽しめるようにストックする薪の積み方を工夫することです。ワークショップを体験した方は「薪アートのオブジェが完成したとき、感動しました」と、初めて薪に触れる人でも楽しめる時間となりました。
 
 開会後、第1部のシンポジウムでは、本催事の受け入れ地域である三瀬地区の取組報告と、新妻先生(東北大学 名誉教授、ノコギリスト)、深澤先生(岩手県花巻市在住、薪割りスト)による話題提供が行われました。
 はじめに、三瀬地区自治会の石塚事務局長から、地域の特徴として海水浴場や八森山・藤倉山などの豊かな自然の紹介がありました。次に、林業家の加藤氏から、地元の材を活用することで地域の森林資源の循環利用につなげる取組として、地域産材を使った住宅建築や三瀬の薪研究会での薪づくりが紹介されました。東北芸術工科大学の三浦先生からは、三瀬地区のエネルギーにおける経済状況を見ると、灯油の利用で年間1億円を地域の外部へ支出しており、灯油の代わりに三瀬地区の森のエネルギーを活用すればその支出を地域内で循環することができるという話がありました。
 次に、話題提供では、新妻先生からは「私たちの暮らしと薪利用」と題して、自身の薪づくりの経験談、現代は高度な巨大システムが相互依存しており、自分ではどうすることもできない当事者性の欠如した社会であることや、地域はそれぞれに特色があり、その特色をそのまま活かすことが地域の資源を活かすことにつながるとお話しをいただきました。最後に、深澤先生からは「薪暮らしの楽しみ」と題して、環境にやさしい、心の癒しになるなど森と暮らしを結ぶ薪がもたらす得や、薪をつくる楽しみ、飾る楽しみ、人とつながる・家族とつながる楽しみなど薪を通して得られる楽しみをご紹介いただきました。参加された方のアンケートを見ると、「三浦先生のアンケート結果が参考になった」「新妻先生のエネルギーの分類の考え方が非常に印象的だった」「深澤さんの薪に対する楽しみ方が非常に印象に残った」などの感想が寄せられています。
 
 第2部の分散会では、東北各地の活動団体の9事例発表の後、「えんたくん」というワークショップ形式を用い、各グループ(5名程度)でそれぞれテーマを設定し、参加者同士の交流を行いました。各グループでは「薪ストーブの楽しみ方」「地域・里山の活性化」「薪を普及するには」「バイオマスシステム」などがテーマに設定され、「薪ストーブの楽しみは、家族の団らん」「地域や里山の活性化には、情報を発信して広げていくことが必要」など活発な意見交換が行われました。
 1日目の最後には、情報交換・交流タイムがありました。三瀬地区の婦人会の皆さんが、地元食材で作ってくださった郷土料理をいただきながら、熱い思い・考えを交換し合う時間。参加された方々の料理を召し上がる笑顔や熱く語り合う真剣な表情を見せていただきました。三瀬のお母さんたちの美味しいお料理が、参加者の皆さんの交流をますます促してくれたようです。
 2日目の第3部のフィールドワークでは、薪割り体験とトレッキングの2つのグループに分かれ、三瀬地区の薪に関する取組現場を見学しました。薪割り体験グループは、三瀬の薪研究会メンバーが中心となり、斧やチェーンソーを用いた薪割りの体験。参加者には、親子での参加もあり、薪割りをしながら、地元の方々との交流を楽しみました。トレッキンググループは、地元ガイドさんと自然を楽しみながら三瀬の八森山まで約1時間の道のりを歩きました。参加された方から、「山、川、海、人柄など三瀬の美しさに触れることができ、よかった」と聞いています。
 全体を通して、あっという間の2日間でしたが、「他団体の活動現場を見ることができ、活動へのモチベーションの向上につながった」と大変うれしい声が寄せられています。「みちのく薪びと祭り」は今回が第1回でした。来年度は岩手県遠野での開催の機運が高まっています。開催が決定したら、ウェブサイトにてお知らせしたいと思います。
 
(Report/Oyamada)