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活動のご報告

活動のご報告

<催事協力>加美町 森と薪のくらしフェスティバル/2014.1.18

2014.01.18 00:00

宮城県加美町で行われた講演会に、EPO東北も運営・司会進行で協力しました。本催事のテーマは「森と薪のくらし」。先月EPO東北が主催した、再生可能エネルギー交流会 薪部会にご参加いただいた方もかけつけ、200名余りの参加者のうち半数が加美町民、半数は東北各県から集まりました。

加美町 森と薪の暮らしフェスティバル~ドイツ・レッテンバッハ村長を迎えて~
日程:2014年1月18日(土)
会場:加美町宮崎福祉センター

午前中には第1部「薪積みアート講習会」が開催されました。12月にEPO東北が主催した再生可能エネルギー交流会 薪部会で話題提供をしてくださった、薪割りストの深澤光さんが講師を務め、参加した皆さんはわくわく顔で「大変楽しい講習会だった」と仰っていました。
EPO東北がお手伝いさせていただいたのは、午後からの第2部フェスティバル講演会です。

講演 「伝統的?先進的?薪割りストが見る東西の薪利用」
講師 深澤光氏

日本と欧州の、昔と現在の薪利用について紹介いただきました。日本では戦後、木材の燃料利用は廃れてしまいましたが、ヨーロッパでは「New Energy」として見直しの動きが広がっているそうです。薪のオーブンや、調理と暖房と給湯をかねた薪キッチンストーブは今でも作られているそう。
「日本でも薪の利活用を広げ、楽しく薪と暮らす人を増やしていく」ことが今の深澤さんの夢だそう。

講演「自治と自立の村の物語 -地域が生き返り、若者が戻ってきたドイツで一番幸福な村ー」
講師 ウィルヘルム・フィッシャー村長

バイエルン州レッテンバッハ村は、人口が減少により存続の危機に陥った過去があります。現村長と村民が立ち上がり、村民による自治を軸とした「若者が住みやすく、環境に優しい村づくり」を目標に掲げ、今では人口が増加し、「天国のような村」と言われ、世界中から注目を集めています。
日本の多くの農山村が抱える過疎と、地域存続の危機を解決するヒントを学ぼうと、ドイツのレッテンバッハ村から村長を招き、その取り組みを紹介する講演会が全国6地域で開催されています。加美町は5カ所目の開催地です。

レッテンバッハではこの20年で、村のためのさまざまな建物を村民とともに建ててきました。図書館の中には母子が集まる場所を作り、村営スーパーにはカフェを併設し、カフェでは自分で料理ができないお年寄りに無料でランチを提供します。2階にはホールがあり、結婚披露宴やコンサートが開催できます。また、村の子どもたちと一緒に遊び場も作りました。「子ども議会」には予算を預け、子ども達が皆で何に予算を使うかを話し合います。
バイエルンのほとんどの村は原子力に頼らず自然エネルギーを活用していて、レッテンバッハでも太陽光発電と蓄熱装置、薪ボイラーによる暖房、バイオガス発電機、菜種油給油スタンドなどさまざまな自然エネルギーを活用する設備が整えられました。
自分達のものは自分達で作る方針で、各世代が手に手を取り合い、自然と調和した暮らしを営んでいる点が大きな特徴で、結果的に若者や子どもたちが自分達の村に愛着を持てる、住みやすい村づくりが実現されています。

最後の座談会では「薪の利用を個人で進めるのではなく、コミュニティで薪を使う仕組みがあると良い」などの意見も出されました。どうしてレッテンバッハではこのような取り組みができたのか、という質問に対し、フィッシャー村長からは「行政任せ、他人任せではなく、自分で決めることが大切」とのアドバイスがありました。

レッテンバッハ村のことを誇らしげに語るフィッシャー村長の姿が印象的で、20年余りかけてコツコツと積み上げてきたさまざまな取り組みも大変興味深いものでした。

(report/Suzuki)