活動のご報告
<催事参加>宮城県大崎市鳴子地域 バイナリー発電の視察/2014.6.9
2014.06.09 00:00
鳴子地域でバイナリー発電の実証(※)を行っているJASFAのもとに一般社団法人小浜温泉エネルギーが視察に来ることとなり、EPO東北も視察に同行しました。
※当該実験の内容
温泉水などで沸点の低い媒体を利用し、冷水との温度差による膨張・収縮を回転運動に変え発電する実証実験。
JASFA(正式名称:一般社団法人持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会)と一般社団法人小浜温泉エネルギーは昨年度環境省事業「地域活性化を担う環境保全活動の協働取組推進事業」の採択団体です。本事業の最終報告会をきっかけに、両団体で情報交換を行っています。
最初にバイナリー発電実証現場を見学しました。JASFAでは現在、鳴子温泉にバイナリー発電装置を1台設置し、実証実験を行っています。ここでは、バイナリー発電装置の仕組みや課題についてお話いただきました。バイナリー発電は湯量や温泉の温度で発電量が変わります。そして、いろいろな成分を含む温泉を機械に通すことで機械の故障につながる可能性があります。そのため、実証実験を行い、データを集めているところだそうです。私が想像していたものよりも発電装置が小さく、驚きました。
その後、一般社団法人小浜温泉エネルギー とJASFAで意見交換を行いました。それぞれの団体の現状や今後の方向性について話し合われました。
次にEV充電器ステーションを見学しました。この装置は最初に見学したバイナリー発電装置で発電した電気を利用しています。地域で発電した電気を地域の人が使える仕組みは素晴らしいと思います。
最後にJASFAがバイナリー発電の実証を今年度予定している「農民の家」を見学しました。農民の家は日本で唯一の全国農業協同組合連合が運営する大規模な湯治施設です。農民の家の温泉は成分量が多く、スケール(湯垢が固まったもの)がすぐに溜まってしまいます。この温泉をパイプに通すとすぐにスケールが溜まってしまい、パイプが詰まってしまいます。温泉で行うバイナリー発電にはスケールによる影響が大きな課題のひとつです。JASFAは農民の家でバイナリー発電の実証実験を行うことでスケールによる装置への影響を見ようと考えているそうです。
小浜温泉の源泉は日本でも指折りの成分量であり、その源泉を機械類に通すと大きな負担がかかります。激しい硫黄ガスとスケールは、鳴子温泉の数倍レベルだそうです。JASFAでは、そうした小浜温泉の環境を知ることにより今回の実証実験の知見幅も拡がると考え、相互に情報交換をしようと考えました。小浜温泉は先行してバイナリー発電の大規模な発電所を造っており、今後の運営などについて出て来る課題には共通点もあるからです。
自然環境の恵みを地域おこしに役立てている小浜温泉は鳴子地域で検証している小型バイナリーに興味を示しています。その理由は地域分散型のエネルギー確保を進める上で有効な手段のひとつであると認識しているからだとお話されていました。
今回の視察が一般社団法人小浜温泉エネルギーの事業の発展に役立てば良いと思います。
(Report/Nasuno)