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お知らせ

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【ecojin】責任ある観光 ~エコツーリズム

2024.04.06 09:05

FEATURE[ 特集 ]
 
旅行者の行動が地域資源の保全、地域活性化につながる!
責任ある観光 ~エコツーリズム
 
環境問題への意識が高まり、
自然体験型の旅行や教育的要素の多い旅行は身近なものとなっています。
このようななか、いま旅行者に責任のある行動が求められています。
旅行を楽しむうえで、私たちの意識や行動は
地域に責任あるものとなっているでしょうか。
いま旅行者に何が求められているのか、
エコツーリズムの考え方に基づいて一緒に考えていきましょう。
 
自然環境 2024.04.03
 
CONTENTS
1. エコツーリズムとは?
2. エコツーリズムにいま何が求められている?
3. 日本や世界の責任ある観光の事例紹介
4. 観光地を大切にする快適な旅をしよう!
5. まとめ
 
1.エコツーリズムとは?
エコツーリズムとは、自然環境や歴史文化など、地域ぐるみで地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組みです。それによって、地域の観光のオリジナリティが高まるだけでなく、地域の住民も自分たちの資源の価値を再認識し、地域社会そのものが活性化されていくことが期待されます。
 
持続的な地域振興・観光振興をめざすエコツーリズムが、資源を消費する旅行にならないよう、宿泊先や移動手段等においても、地域を保全する旅行を心がけることが大切です。環境への意識が高い旅行者は、エコツアーやエコロッジ(体験型宿泊施設)等、地域へ負荷をかけない旅行を選びつつあります。インバウンドを含む旅行者が増加するなか、こうした世界の動きに日本も対応していく必要があり、これからのツーリズムに必要な視点として、エコツーリズムがこれまで目指してきた「責任ある観光」の考えが重要になります。
 
2.エコツーリズムにいま何が求められている?
では、持続可能なエコツーリズムのために、私たちはどんなことを意識して旅をすればいいのでしょうか?エコツーリズムの専門家である海津ゆりえ先生にお話を伺いました。
 
教えてくれる人 海津ゆりえ先生
文教大学国際学部教授。農学博士。立教大学理学部化学科卒業後、地域計画を志し、建築・地域計画事務所に勤務。1980年代末に「エコツーリズム」というキーワードに出会い、ライフワークにすると決める。1991年西表国立公園で環境庁(当時)が開始したエコツーリズム開発プロジェクトに携わり、以後各地のエコツーリズム支援にかかわる。日本エコツーリズム協会創設メンバーの一人。2007年文教大学へ。主要フィールドは西表島、奄美群島、八丈島、岩手県宮古市、磐梯朝日国立公園、ガラパゴス諸島など。主要著書は、『日本エコツアー・ガイドブック』(岩波書店)、『エコツーリズムを学ぶ人のために』(世界思想社)など。
 
現在、エコツーリズムはどの地点にいる?
私がエコツーリズムに関わるようになったのは、1980年代後半。もう30年を超えます。観光が環境そのものに負荷をかけている国もあるなかで、日本はとても良い状態だと思います。2007年にエコツーリズム推進法が成立し2008年に施行されました。特に、環境省は様々な取り組みをされてきていて、エコツーリズムの推進と継続をほぼ一体的に進めているので、世間に定着してきたと思っています。最近ではオーバーツーリズムといった過度な自然利用が問題視されることも多いですが、エコツーリズムに真摯に取り組んできた歴史があるからこそ、人々の中に問題意識が働いているのだと感じています。エコツーリズムの解釈にはいろんな捉え方があるんです。お金を生み出す、環境教育を提供する、自然を守る、地域の雇用を作る、文化を守る、などそのすべてをお伝えし推し進めてきていますが、二次的に関わっている方々が「自然を利用する」という狭い捉え方をされることもあります。言葉が広がると同時にいろんな解釈が生まれていくのは当然のことなのですが、その理念には耳を傾けて欲しいですね。
 
環境先進国であるコスタリカが進めている取り組みや見習うべき点は?
中米のコスタリカは世界の環境先進国。この国は環境と教育にものすごく予算を割いています。観光開発をするというよりもエコツーリズムそのものをコスタリカのブランドと捉えており、国として、旅行者に環境に配慮した取り組みを売り込んでいます。国立公園や自然地域に入るときに適用されるルールを旅行者にも求めますし、観光事業者にも環境基準の達成をラベルで表示させています。これは非常に発達した観光マーケティングかつ国の姿勢です。また、自然地域や国立公園を訪れる際にはガイドに案内してもらうことが当たり前になっています。ガイドが介在することによって旅行者は自然を楽しみながら、かつ圧迫感を与えずにルールを守るようになります。このように、ゆるぎのない姿勢をきちんと示すことも大事なことだと思います。
 
地域など受け入れる側のスタンスはどうあるべき?
楽しむという観光の本質や経済面を考えると、旅行者にルールを押し付けることがはばかられる時もあるでしょう。日本には「お客様は神様です」という言い方もあります。旅行会社の方に「海外では旅行者にルールを守るようにきちんと伝えている」と話をしたときに、そんなことできるわけがないと叱られたことがありました。ルールを守ることが絶対、というより、守りながら観光を楽しむためのボーダーラインを伝えるコミュニケーションができればよいと思います。ガイドと一緒であれば、それを任せられるでしょう。自然を遠ざけるのではなく、より身近に触れる生の体験から、自然に対する興味も芽生えるので、今後はガイドの存在も大切になってくると思います。
 
逆に旅行者はどのような気持ちで参加すべき?
土地にはその土地ならではの自然があり文化があります。旅を始める前に、何を大切にしているのか、どのような振る舞いをすべきかを知っておいたり、その土地のことはその土地の人に聞くスタンスでいると気持ちよく受け入れてもらえます。旅をするときの心得=ツーリストシップという言葉もありますが、「知りに行く」「学びに行く」といった姿勢でいると豊かな旅ができると思います。みなが“良き旅人”になるべきです。
 
エコツーリズムの魅力を教えてください!
エコツアーに参加すると、身近にある道端の草も変わって見えてきます。誰も目を向けていないものに触れたことで、とても幸せな気分になると思います。自分が知らないことがこんなにも多いのかと圧倒されます。もちろん時には圧倒的な力が脅威となることはありますが。ぜひエコツアーに参加してください。居場所がないと思っている方が増えています。でも自然は人を差別せず、拒みません。すんなりと入っていけるはずですし、必ず素敵なものが見つかるでしょう。自然や、自然をとりまく生活文化に触れ、人間も自然の一部として関わることこそが自然を守ることにつながる、そんな素晴らしい体験をしていただきたいです。
 
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