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【資源エネルギー庁】日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(後編)~早期の社会実装を目指した取り組み

2024.02.26 09:05

2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、再生可能エネルギー拡大の切り札として注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池」。
前編では、その特性や技術開発の状況についてご紹介しました(サイト内リンクを開く「日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)~今までの太陽電池とどう違う?」参照)。
今回は、海外での開発状況や日本企業の取り組み、そしてそれを後押しする政府の支援策などについて見ていきましょう。
 
産業化に向けた取り組みを政府も後押し
軽くて柔軟性に優れ、設置場所の大幅な拡大が期待できるペロブスカイト太陽電池は、製造工程が少なく低コスト化が見込める、主要材料であるヨウ素は日本が世界シェア第2位を占めるなど、将来性が期待できる技術です。政府も活用に向けた取り組みを後押ししており、「グリーンイノベーション(GI)基金」(令和2年度第3次補正予算にて国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[NEDO]に造成した2兆円の基金)において、「次世代型太陽電池の開発プロジェクト」(498億円)を立ち上げ、2030年の社会実装を目指しています。
 
この支援を通じて、これまで複数の企業が製造技術の確立に向けた開発を進めてきました。
たとえば、積水化学工業株式会社はビルの壁面や耐荷重の小さい屋根などへの設置が可能な軽量で柔軟なフィルム型太陽電池を開発。
30センチ幅の製品のロールtoロール製造プロセス(複数のドラム・ロールで製品を搬送しながら印刷や塗布をおこなう方法)での連続生産が可能になり、耐久性10年相当、発電効率15%の製造に成功しています。
また、2025年に全面開業するJR西日本の「うめきた(大阪)駅」広場でのペロブスカイト太陽電池の設置や、2023年11月に公表した、世界初となる1MW(メガワット)超の高層ビル壁面への導入計画など、ユーザー企業との実証計画も複数公表しています。
 
早期の社会実装を目指して
こうした研究開発の成果が実りつつある一方で、中国、英国、ポーランドなど海外でも開発が急速に進められており、量産化に向けた動きも見られるなど、競争が激化する状況にあります。
日本が世界での競争に勝ち抜くためには、2030年を待たずして社会実装を実現することが必要です。
そこで、2023年8月には産業構造審議会 グリーンイノベーションプロジェクト部会グリーン電力の普及促進等分野ワーキンググループにて、早期社会実装に向けた追加的取り組みとして、開発事業の予算を150億円積み増し、648億円とすることなどを決定しました。
今後は、基盤技術の開発事業、大型化や発電コストの向上などに向けた実用化事業、量産技術なども含めた実証事業などの拡充をはかっていきます。
 
ペロブスカイト太陽電池の産業化を確立するためには、量産技術をできるだけ早く確立すること、生産体制を早急に整備すること、そして需要を創出することが不可欠です。
ペロブスカイト太陽電池を早期に社会実装することを目指し、普及拡大に向けた量産化の国内製造サプライチェーンを構築するため、政府ではGX経済移行債を活用し、生産拠点整備のためのサプライチェーン構築を支援していく方針であり、GX実行会議でとりまとめた分野別投資戦略において、「生産拠点整備のためのサプライチェーン構築支援」という内容が盛り込まれました。また、令和6年度予算案には、水電解装置、浮体式洋上風力発電設備などと合わせて、ペロブスカイト太陽電池のサプライチェーン構築に向けて、令和6年度548億円、国庫債務負担行為を含め総額4,212億円の「GXサプライチェーン構築支援事業」が計上されています。
また今後、ペロブスカイト太陽電池を世界的に普及させるためには、その性能をどう評価するかという国際標準が必要です。2023年4月におこなわれた「G7気候・エネルギー・環境大臣会合(G7札幌)」では、合意文書に「ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力発電、波力発電などの革新的技術の開発や、新技術実装のための評価方法の国際標準化を国際協調のもとで推進する」という内容が盛り込まれました。
日本は、国内での研究開発や実装を進めつつ、世界に向けた取り組みにも力を入れていきます。
 
 
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