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【ecojin】[自然共生サイト]O's Garden[小田部家信]

2024.02.05 09:05

自然共生サイトに認定されているのは、企業や自治体、NPO法人といった大きな団体だけではありません。
今回ご紹介するのは、個人宅のビオトープ(いろんな生き物が生息できる空間)として認定されたO's Garden(オーズガーデン)です。
 
東京都西東京市の住宅街の一角にあるオーズガーデンでは、ビオトープを中心とした庭づくりで、野生動植物にやさしい環境を整えることで、地域の絶滅危惧種のニホンアカガエルやアズマヒキガエル、ヒガシニホントカゲなどの繁殖を可能にしています。

幼少期からさまざまな生物と触れ合ってきた、オーズガーデンの小田部家信さんにお話を伺いました。
「実は私は一度も生物多様性保全という意識を持ったことはないんですよ。
ただ、幼少期に触れていた自然が徐々に失われていくのを寂しく感じ、せめて自分の家の庭の中だけでも、大好きだった水辺を再現しようと思っていました。
 
この街は『田無』という地名から分かるとおり、もともと水に苦労していた土地で、用水路や農業用のため池が、カエルやカメ、トンボ、ドジョウなど多種多様な生物の生息環境として機能していました。それが、宅地化によって、そのような生息環境が減っていき、カエルたちもどんどんいなくなってしまったのです」
 
具体的にどのようなことを行われたのでしょうか。
「私が水辺の生物や風景が大好きでしたので、小学校高学年くらいから弟と自家製の池をつくっていました。しかし、水漏れするなど失敗を繰り返していたので、1980年頃に90リットルのひょうたん池を購入したことで、水漏れのない環境ができたのです。
その後、私が実家を離れていた18年ほどの間、両親も動植物が好きだったことから、弟とともにつくり上げたひょうたん池を大切に守ってくれたことが、生物多様性保全につながり、偶然と言いますか奇跡だとも感じています。
 
実家に帰って、2020年からは500リットルの池を増設したり、植栽を改善したりするなど本格的なビオトープづくりを始めました。
そうすることで、生き物が身を隠したり安心して冬眠できるようになりました」
「肉食性動物のカエルやトカゲを頂点として、エサとなる草食性動物の昆虫などが繁殖しやすい環境をつくっています。
 
大きな池も設置したことで、水辺の生物であるトンボやアメンボなども来るようになりました。
また、草食性昆虫が増えすぎたことによる植物の被害を、肉食性昆虫のオオカマキリを繁殖させることでバランスコントロールして、庭という小さな環境であっても、生態系を感じられるのはとても面白いと思います。お気に入りの花木がそよぎ、小鳥やチョウが舞い、バッタが飛び跳ね、トカゲが日向ぼっこし、水辺でカエルが暮らしながら、子どもたちも遊びまわることができる場所になるのです」

ただ、自然と向き合うと難しいこともあると言います。
「2023年の夏は厳しい暑さで、カエルの幼体やエサとなる昆虫がかなり減ってしまったので、夏場の散水方法を考えなければいけないと思いました。
また、野生のタヌキによるカエルの捕食被害があったので、タヌキの通り道を閉鎖するなどの対策を検討しています。
さらにはニホンアカガエルのオタマジャクシが、アズマヒキガエルの卵のほとんどを食べてしまったので、なにか対策を考えようと思っています」
 
個人宅で長く続けられるコツはなんでしょうか。
「とにかく自分自身がいつまでも眺められる癒やしの空間にすることです。そして、日々の手入れに苦痛を感じることのないようなメンテナンスが楽な設計にすることも大事ですね。また、先ほどお話ししたように私が不在のときにも対応してくれるなど、家族全員の協力がなければ成り立たなかったでしょう」

自然共生サイトに期待することや今後の目標を教えてください。
「戸建て住宅の庭のビオトープという小さな空間でも、生物多様性保全の活動がなされていれば、自然共生サイトに認定される可能性があるということを多くの人に知ってもらいたいですね。
大がかりな水槽なども必要はなく、身近なものでできますし、自分自身が楽しみながら活動することが、結果として生物多様性保全につながります。
今後も野生生物に寄り添って、彼らが楽しく過ごせるオアシスづくりを継続して、近隣の方々とともに懐かしい水辺を中心とした風景を共有していきたいです。
『野生生物にやさしいビオトープづくり』のお手伝いができればと思っております」
 
 
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