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【国立環境研究所】2200分の38 -未来を担う子どもたちと、環境について考える- 2023年度陸別出前授業 開催報告

2024.01.30 09:05

1.はじめに
2023年11月24日、北海道陸別小学校5,6年生に地球システム領域地球環境研究センター大気・海洋モニタリング推進室の町田敏暢室長が出前授業を行いました。
国立環境研究所(以下、国環研)では、陸別町の銀河の森天文台に設置した観測拠点でフーリエ変換分光計を用いて、地上から大気上端までの気柱に含まれる二酸化炭素(CO2)およびメタン濃度の観測や、成層圏における微量気体成分の観測を行っています。
陸別町では、国環研や名古屋大学等の教育・研究機関との情報交換や地域振興などを目的に陸別町社会連携連絡協議会を設立しており、その活動の一環として年に一度、陸別小学校・陸別中学校への出前授業を行っています。
陸別町での出前授業は、2020年は新型コロナのため中止、2021年、2022年はオンライン開催となっていたため、4年ぶりの対面開催となりました。
 
2.子どもたちからの感想
出前授業の実施後に陸別町教育委員会にて行われたアンケート調査から子どもたちからの感想をいくつか紹介します。
 
Q. 今日の出前授業で、どんなところがおもしろかった(楽しかった)ですか?
実験とクイズが楽しかった。
実験の(小瓶を)ふるところが楽しかった。
息を吹きかけると色が変わるところがすごかった。

Q. この勉強で、どんなことがわかりましたか?
陸別が重要なまち。
地球温暖化についてくわしくなった。
人の口の中にはCO2がたくさんあること。
石油を使うとCO2は増える。
昔よりもさらにCO2の量が多くなっているから、少なくなる努力をするといい。
CO2は役にたっているけれど、増えすぎると地球があぶないことがわかった。

Q. その他どんなことでも、感想を聞かせてください!
知らないことがたくさんあって、もっともっと知りたいと思った。
太陽光を地球が受けとって 、温度をたもっていることにもびっくりしたし、植物がCO2を吸収していることにもびっくりした。
車がCO2を出さなくなったらいいのに。
クイズをもっと増やしてほしい。
実験をたくさんやりたい。
アルカリ性、酸性、中性、の覚え方をまねしてみたい。
 ※町田室長がBTB溶液の色の変化の覚え方を、「信号が青になったら歩ける。あるける、アルケル…アルカリ性。青になったらアルカリ性!」と伝授。
小学校5,6年生らしい素直な感想をたくさんもらいました。
 
3.おわりに
冒頭のタイトル「2200分の38」の数字は何を示しているでしょうか。これは「『陸別町の人口(2023.10.31時点で2,175人)』分の『陸別小学校5,6年生の人数(38人)』」です。
地上観測ステーションがある落石、波照間、そしてこの陸別では毎年(波照間は2年に一度)授業を行っており、それぞれ小学校5,6年までに必ず1回エコスクール、出前授業を経験してもらえるように地元の皆様と協力しながら計画、実施しています。
子どもたちが地元の価値を客観的に知ることができる出前授業は重要な活動であり、我々がその地元に還元できる大切な恩返しの一つです。
町田室長が、授業の終わりに必ず子どもたちに出す「宿題」があります。それは、この実験を家に帰って家族の前で再現すること、です。
一学年の人数は少なくとも、授業を受けた子どもから兄弟、保護者へと興味、知識、地元への誇りが「2200分の38」から80や100にまで広がっていってほしいと思います。
そして何より、「陸別が重要なまちであることがわかった」という感想があったように、今後も子どもたち自身が自分の住む町について、そして地球環境について考えるきっかけになればと思います。
最後に、今回の出前授業、並びに日々の観測活動にご理解・ご協力いただいている陸別町の皆様に、改めて心より御礼申し上げます。
今後も国立環境研究所の研究へのご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 
 
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