東北の環境パートナーシップを応援します。

お知らせ

お知らせ

【経済産業省:資源エネルギー庁】企業の脱炭素化をサポートする「トランジション・ファイナンス」とは?(後編)~世界の動向と日本の取り組み

2023.08.15 09:05

「2050年カーボンニュートラル」という目標を達成するための重要なカギをにぎる、産業分野の脱炭素化。なかでも、温室効果ガス(GHG)を多く排出する産業分野を中心に、脱炭素社会の実現に向けて長期的な戦略に則り、着実な低炭素化を実現し、脱炭素化への移行をサポートする新しい金融のしくみが「トランジション・ファイナンス」です。
 
今回は、トランジション・ファイナンスについて、国際的にどのような議論がなされているのか、また日本の取り組み状況などについてご紹介しましょう。
 
 
グリーン・ファイナンスとトランジション・ファイナンス、何が違うの?
「トランジション・ファイナンス」とは、脱炭素化を実現するために、長期的な戦略に基づいて着実にGHG削減に取り組む企業に対し、資金を供給する新しい金融手法のことです。

企業などが脱炭素化のために資金を調達する手段としては、これまでも「グリーン・ファイナンス」などがありましたが(サイト内リンクを開く「CO2排出量削減に必要なのは『イノベーション』と『ファイナンス』」参照)、トランジション・ファイナンスとは何が違うのでしょうか。
 
グリーン・ファイナンスは、温室効果ガス(GHG)の排出がない、または少ない「グリーン」な企業やプロジェクトに対しての資金提供を指します。しかし、鉄鋼やセメントなどGHG排出量の多い産業は、製造のプロセスそのものを革新的な脱炭素技術を使ったものへ変えていく必要があるため、一足飛びに脱炭素化を達成するのが困難です。
 
そこで、現時点ではGHG排出が多くても、将来的にグリーンに移行するために資金を提供するのがトランジション・ファイナンスです。
 
 
世界が注目、ルール作りが進むトランジション・ファイナンス
世界でも、トランジション・ファイナンスを推進する動きは加速しています。
 
たとえば、OECD(経済協力開発機構)では、2022年10月にトランジション・ファイナンスに関するガイダンスを公表しました。
 
グリーンボンド(環境問題解決を目指す事業に資金を集めるための債権)発行に関する自主的ガイドラインである「グリーンボンド原則」などを公表している「国際資本市場協会(ICMA)」では、2020年12月に「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」を公表しています(2023年改訂)。

またEUでは、環境に配慮した、グリーンな経済活動であるかを認定する基準として「EUタクソノミー」(タクソノミー=分類)を定めていますが、
グリーンかどうかの基準だけでは移行(トランジション)のための取り組みが評価できず、またGHG多排出産業の経済活動を分類できないため、それらを含めた分類区分拡張の必要性が提案されています。
 
2023年4月に開催された「G7札幌 気候・エネルギー環境大臣会合」でも、トランジション・ファイナンスが成果文書において取り上げられました。

日本でも、GX実行のための「新たな金融手法の活用」に関する具体的な検討をおこなうために、「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会(GXファイナンス研究会)」を発足させました。
 
2050年カーボンニュートラルに向けて、民間金融による資金供給を促進するために、2023年12月までに、具体的な政策の方向性をとりまとめる予定です。
 
 
→詳細はこちらからご覧ください(外部リンク)