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【地球・人間環境フォーラム】「マザーツリー」気候と生態系を守るカナダの森の叡智:それを燃やすバイオマス発電は「再エネ」か?【開催日時:2024年5月27日(月)15:30~17:30】

2024.04.20 09:05

カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の森林は膨大な炭素を蓄積し、巨⽊がそびえ、森林トナカイやハイイログマなどの⼤型哺乳類が生息する生物多様性豊かな地域です。
 
しかし、同州の原⽣林や天然林は、⼤⾯積の伐採や近年続く⼭⽕事により、急速に劣化しています。皆伐と⽕災に弱い針葉樹のみの植林など、同地の森林施業にも原因があると指摘されています。

⼀⽅、⽇本ではBC州から⽊質ペレットを輸⼊し、再⽣可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の支援の下、木質バイオマス発電の燃料として燃やしており、私たちの再エネはカナダの森林に依存し続けています。
 
『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』の著者で、森の木々が巨大なネットワークを持ちコミュニケーションしていることを明らかにしたスザンヌ・シマ―ド⽒と、同州の森林保護政策に関わってきたレイチェル・ホルト⽒が初来⽇し、BC州の森林⽣態系の状況とその価値、⽇本が輸⼊する⽊質ペレットの持続可能性の課題について、講演いただきます。
 
日時
 2024年5月27(月)15:30-17:30(対面開場は15:00、オンライン開場15:25) 
 
開催方法
 対面とオンラインのハイブリッド形式 
 ・対面参加:聖心女子大学 ブリット記念ホール(同大学4号館・聖心グローバルプラザ3階)
    〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-2-24(東京メトロ日比谷線広尾駅 4番出口から徒歩1分) 
 ・オンライン参加:Zoomウェビナー

参加費
 無料
 
お申込みフォーム
 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_85wwIC_9Qsi_ZMV-DTTkug 
 ※会場参加の方も、上記URLより事前にご登録をお願いします。 
 
プログラム
・講演①スザンヌ・シマード氏「Mother Treeと菌根菌ネットワークから見るBC州の森林の価値と役割(仮)」
・講演②レイチェル・ホルト氏 「BC州の森林政策、ペレット産業・政策の『持続可能性』の課題(仮)」 
・質疑応答 
・コメント:中静 透 氏(東北大学名誉教授) 
 ※予告なく内容が変更になる場合があります。
 
講演者
・スザンヌ・シマード(Suzanne Simard)氏
 カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)で森林生態学の教授を務めるスザンヌ・シマード博士は、マザーツリー・プロジェクト(MTP)やマザーツリー・ネットワーク(MTN)などの複数の革新的な研究イニシアチブを率いる。シマード氏の先駆的な研究は、自身の土地との深いつながりや樹木に囲まれて過ごした時間に支えられており、自然の複雑なつながりの網を深く掘り下げるものである。
 MTPは、900kmに渡って気候帯を横断する革新的な実験として有名で、気候が変化する中で、老木の保持が生物多様性の保護、炭素貯蔵、森林再生にどのように役立つかを調査している。このプロジェクトは、シマード氏と同僚が設立したMTN(共同研究者や先住民のパートナーからなるネットワーク)の基盤となっている。このネットワークは、森林を保護し、採取型経済から再生型経済への生態学的移行を加速させることを目指している。
 ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー “Finding the Mother Tree: Discovering the Wisdom of the Forest”(邦題『マザーツリー:森に隠された「知性」をめぐる冒険』)の著者であるシマード氏は、樹木が地下の菌類のネットワークを利用してどのように相互作用し、コミュニケーションを図っているかについての研究で世界的に知られている。学生や同僚たちとの研究により、森林には「ハブツリー(マザーツリー)」、すなわち、森林内の資源の流れに重要な役割を果たす、つながりの強い大木が存在することが認識されるようになった。
 シマード氏は、分かりやすいサイエンス・コミュニケーションの確固たる旗振り役であり、インタビューやドキュメンタリー映画、そしてTEDトーク“How trees talk to one another”(「木はどのように互いに語り合うのか」)を通じて、世界中の聴衆に自身の研究を伝えてきた。
 
・レイチェル・ホルト(Rachel Holt)氏
 過去30年間、ホルト博士は独立系生態学者として、BC州のネルソンという小さな町を拠点に、シニクスト族、クトゥナクサ族、オカナガン族の未譲渡の領土内、そして広大なBC州全域で活動してきた。主な活動分野は、環境条件と動向の技術的分析であり、技術チームや交渉チームと協力して、大規模で複雑な生態学的・社会政治的な土地利用問題にも取り組んでいる。
 イギリスで生まれたホルト氏は1991年にブリティッシュ・コロンビア州に渡り、学問的な教育を受け、同州の景観、森林、生物多様性を深く理解するようになる。これまで、森林生態学と森林管理のさまざまな側面について研究しており、内容は、「老齢林」の指標の定義、森林政策の立案、グレート・ベア・レインフォレスト(BC州太平洋沿岸の温帯雨林)を含む大規模な保全計画、累積的影響評価、気候変動研究への貢献などにわたる。
 特に、ホルト氏はBC州の老齢林の状況に関する最新の研究を執筆し、BC州における生産性の高い老齢林の残存レベルが極めて低いことを明らかにした。ホルト氏は、州の林業監視機関である「森林施業委員会」の副委員長を務め、ブルーベリー・リバー先住民の条約上の権利に関する最高裁裁判では、専門家として証言を行った。さらに、2022年には、老齢林に関する州大臣技術諮問委員会の委員に任命された。
 ホルト氏の、透明性が高く科学的に健全な土地管理手法の推進への献身は、彼女のコンサルタント会社であるVeridian Ecological Consulting Ltd.に表れている。ホルト氏の包括的な使命は、生態系本来の価値を総合的に考慮した意思決定プロセスを促進することである。次世代に健全に機能する生態系を残すことに情熱を注ぐホルト氏は、環境スチュワードシップと管理に対する総体的なアプローチを精力的に提唱している。
 
主催・お問合せ
 一般財団法人 地球・人間環境フォーラム (担当:鈴嶋・飯沼、E-mail:event[a]gef.or.jp)
 
共催
 Mighty Earth
 
協力
 ウータン・森と生活を考える会、バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
 
助成
 国土緑化推進機構 緑と水の森林ファンド
 
→詳細はこちらからご覧ください(外部リンク)